意味怖

仕事

投稿日:

石の上にも三年。

説教くさくて、あんまり好きな言葉じゃない。

それでも本質を突いているとも感じる。

確かに、やりたくない仕事でも長く続けていると、身に着くものはあるものだ。

 

ファッション誌のカメラマンを目指していたオレにとって、編集長から依頼された仕事は希望とは程遠いモノだった。

それでも仕事を選り好みする余裕はなかった。35年ローンのマイホームには、妻と2歳の娘が待っている。

「ねえ、仕事の意味分かってないの?こんなのただの風景写真じゃないの。使えるわけないでしょ」

月刊<心霊スポット>の人気コーナー<真波ちゃんの心霊写真鑑定>で使用する写真の撮影。

編集長が求めているのは、当然『風景』ではなく、『心霊』写真だ。

良心の呵責はあったが、仕方なくオレは撮影した写真をパソコンで『心霊写真』に加工することにした。

 

思いのほかに、技術力が必要な難しい作業だった。

下手に加工すれば見る人が見れば、すぐにバレてしまう。

今の時代にヤラセなんてバレたら、タダじゃ済まない。

光源の位置、露光や撮影対象との距離を考えて、絶妙に「自然ではありえない」写真をつくる。

1枚だけならまだしも、毎月何枚も提出しないといけないし、同じような写真ばかりでは「ワンパターンで面白くないわ」なんて編集長に叱られる。

仕事を始めた当初は、自分の腕のなさを痛感し、悪戦苦闘の日々だった。

締め切りギリギリの夜中まで残業を繰り返したものだ。

 

しかし、石の上にも三年だ。

日を追うごとに仕事は早くなった。

実際には3年と掛からず、1年も経つとすっかり身について、かなり余裕を持って仕事を進められるようになった。

「じゃあ、お先に失礼します」

今では残業もめっきり減った。

しかし、全てが上手くいっているというわけでもない。

悩みもある。

せっかく早く退社できるようになったというのに、まったく家に帰る気がしなくなってしまったことだ。

解説やその他の話はLINEで

ネットのコピーではない『オリジナルの意味怖』をLINEに掲載しています。

解説も順次公開、すべて無料です。

友だち追加
3097人が追加

LINEで読める意味怖と解説リスト

  1. 幸福な未来
  2. 除霊
  3. 無罪執行
  4. ショートケーキ問題
  5. 夢オチ
  6. 彼女は私を見下し続ける
  7. go home
  8. ノート
  9. 僕は交通ルールにうるさい
  10. 僕らの成功法則
  11. 付きまとわれてて
  12. 事故物件
  13. 同棲生活
  14. 懇願
  15. わら人形
  16. 占い師
  17. 最後の一葉
  18. 魔法の香水
  19. キツネ様
  20. 青ざめる
  21. 仕事
  22. シェアハウス
  23. 清々しい朝
  24. みんな平等に
  25. 平和的な解決
  26. 点線
  27. 霊能者の義務
  28. ハロウィンって何かしら?
  29. 停電の夜に
  30. 暗号解読

*その後も随時更新中です。

友だち追加
3097人が追加

スポンサーリンク

買いもの記録

人気記事

go home

その日は部下のミスの尻拭いで、遅い退社になった。 電車のシートに座ると、スマホの …

関連記事

無罪執行

あの弁護士は金のためなら何でもする男だった。 どんな非道な行為もおこなう。 &n …

停電の夜に

こないだ、おそろしい体験をしたんだ。 ドーンッとすごい音がして、次の瞬間、すぐに …

夢オチ

私の前にはドアがありました。 マンションの自分の家の玄関ドアです。 チャイムを押 …

ショートケーキ問題

人には性分というものがある。 私にもある。 四角四面で、曖昧なことが嫌いな性格な …

ハロウィンって何かしら?

A「えー、おばあちゃん、ハロウィンも知らないの?仮装した子どもが、夜に近所の家を …

スポンサーリンク

最近の投稿

スイカ

目覚ましを止めてから、 私はタオルケットを身体に手繰り寄せた。 付けっ放しにして …

暗号解読

私は白髪混じりの頭をポリポリと掻いた。   うーん…… さっぱり分から …

停電の夜に

こないだ、おそろしい体験をしたんだ。 ドーンッとすごい音がして、次の瞬間、すぐに …

ハロウィンって何かしら?

A「えー、おばあちゃん、ハロウィンも知らないの?仮装した子どもが、夜に近所の家を …

霊能者の義務

信号待ちをしていたのは5人。 私は、前に立つ灰色のスーツの『背』をじっと見つめて …

スポンサーリンク

スマホアプリ

全話オリジナルの「意味がわかると怖い話」を載せたアプリをつくりました。赤い方は80話以上の短編を掲載しています。

角川つばさ文庫

「アッと気付くとゾッとする!」
1話1分どんでん返し系ストーリー集です。出版しました。

Kindle本

7話のショートショートを掲載しています。スマホのKindleアプリなどで読むことができます。

プログラミングや意味怖の創作などをしています。 ペンネームは思いつかなかったので、テストでよく見る「”マルマル”を埋めなさい」から取りました。

・角川つばさ文庫「本当はこわい話」出版!
・自作アプリ累計10万インストール突破!
・Kindle本「おしまいおしまいでは終わらない昔話」SF・ホラー・ファンタジー部門1位獲得!(数日間のみ)
・comicoにて85万PV突破!

というのが、優れた実績になります。劣った実績は…

→詳細プロフィールを見る

友だち追加
3097人が追加

→このブログの更新を受け取る方法