意味怖

除霊

投稿日:2016-05-19 更新日:

恐怖体験というと、

私はあのアパートのことを思い出します。

就職して東京で一人暮らしを始めた、小さな2階建てのアパートです。

霊感もないですし、周りにもそんな人は居ませんでしたから、それまでの私は全く考えていませんでした。

まさか、幽霊がホントに居るなんて…

ーーー
ーー

季節は夏でした。

勿論、最初は気のせいだと思いました。

夜中に目を覚ますとテレビが付いていたり、気付くとなぜか廊下が水滴で濡れていたり、最初に起きていたのはそんな他愛もない事柄でしたので。

でも、子供が落としたアイスに群がる蟻のように、時間が経つ毎に、その姿はハッキリと私にも認識できるものに変わっていきました。

風呂場の曇りガラスの奥に人の顔が見えるようになり、布団に入ると直前まで誰かがそこに潜っていたような、生暖かさを感じることもありました。

その頃になると、ときたま聞こえていたラップ音も、自分が殺されたときの様子を語るボソボソとした女性の声に変わっていました。

それでも私は、これが妄想だと思っていました。

相談できる相手も居ませんでしたし、これは私の脳が作りだした幻なんだと、自分に言い聞かせて過ごしていました。

しかし、そうではありませんでした。

あれは、私が1泊2日の出張から帰ってきたときのことです。

鍵を取り出そうと、ドアの前で鞄を漁っていた私に、大家さんが声を掛けました。

「昨日は夜通し部屋から話し声が聞こえていたけれど、長電話も程々にお願いしますね。ここはあまり壁も厚くないから」

彼女はそう言いました。

私は、

「…はい。すみません」

と返しましたが、手に持った鍵は細かく震えていたと思います。

流石にこのままでは危険だと思った私は、教会に電話してわざわざ外国人の神父さんに来て貰い、部屋をお祓いして頂きました。

全く日本語が通じず、拙いやりとりになってしまいましたが、彼が帰り際に言ってくれた、

「これで大丈夫ですよ」

という英語くらいは、理解することができました。

それからは、異常な事はおこらなくなって、あの女の声も部屋から完全に消えました。

心底、良かったと安堵しました。

あのときは本当に怖かった。

それから私はすぐにアパートを引き払って、今の旦那と同棲を始めました。

そうそう。

こないだ、あの神父さんに宛てて手紙を書いたんです。

旦那と生まれたばかりの娘、3人で写った写真を同封しました。

ネットで翻訳した文章なので、ちゃんと伝わっているかはわからないですけれど…

「あなたのおかげで、私は今も幸せに暮らせています」

そう綴りました。

本当に彼には感謝してもし尽くせない気持ちでいます。

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  20. 青ざめる
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  24. みんな平等に
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